中国動乱の危険性

反対勢力が盛り返して習近平が失脚しそうになれば、健康不安等を理由に穏便に辞職すれば何とかなりますが、互いに譲らないで権力闘争が表面化して来ることもあり得ます。
こうなると普通でも困難な状況になっている経済政策がそっちのけになる結果、経済混乱が加速してまさに共産党政権が倒れる・・中国動乱の切っ掛けになる可能性があります。
習近平弱体説・・基盤が弱いから対外強硬姿勢をとるしかないのだと言う意見は、中国の混乱を内心期待している意見です。
しかし、以下に書くとおり中国動乱は簡単には起こりませんし、仮に起った場合、日本にとってかなりリスクの高いことになります。
動乱あるいは内部抗争が激烈になるよりは、習近平が権力を手中に収めて、恐怖政治をしている方が日本にとって有利なのです。
4〜5千万人も餓死した大失政時にも、華国鋒国家主席の失脚時にでも、共産党政権は倒れませんでしたが、今回はどうでしょうか?
何回も書いていますが、現在社会では政府軍の火器が強大なために外国の介入がない限り民衆の蜂起による政権転覆は、殆ど可能性がありません。
リビヤの騒乱やシリア内戦にしろ、ウクライナ東部内乱状態にしろ、全て外国からの武器や人材流入があってこそ成立するものです。
共産党政府内の権力闘争が表面化する程度であって、国民には関係なく進む可能性が最も高いように思えます。
その間、権力抗争上対外強硬論の競争になりかねませんので、周辺国は大迷惑を受けます。
周辺国と言っても日本以外は領土をかすめ取られるくらいですが、中国にとって日本は不倶戴天の敵扱いですから、イザとなれば何をするか知れません。
この抗争が長引いて(各部門トップが敵対する派閥の指示に従わなくなるなど)政府の意思決定過程がうまく行かなくなるところまで行けば、一種の無政府状態化してきます。
この状態が長引くとさしあたり中央の軍が出て来てエジプトやタイのような軍事クーデターに発展するのでしょうが、各政治グループと結びついている各地軍閥がこれに従うかは別問題です。
現在の中国の軍区制度は清朝末期のような軍閥・・自分で軍を養う能力を持っていませんので、地方に割拠して長期的に中央に抵抗できません。
ただ長期補給を前提にしない短期行動は手持ち兵力で起こせますので、各地軍閥が中央の混乱を統一するとして、蹶起する可能性が出て来ます。
古代から節度使や軍閥自立の歴史経験があるので、混乱が長引けば経済自立を簡単に果たす・・軍区支配内で税を取り立てるのに成功する軍閥が出て来てもおかしくありません。
中国が分裂するシナリオとしては、軍閥の乱立による内乱によって最後は勝ち残った軍閥による新政権樹立と言うパターンがもっとも想定される可能性ではないでしょうか?
決着がつく間・・もしかしたら100年単位の時間軸で地域的に分裂したままになる可能性があります。
・・古くは魏晋南北朝(5胡16国)や唐宋間の5代10国時代や今の台湾のように、その間それぞれが独立国として世界と外交関係を結んで行く状態で、安定する時期が続くかも知れません。
そうなれば日本は分裂支配国全てと仲良くして行けば良いことですし、各軍閥は今の中国よりは辞を低くするしかないので、横柄な態度を取らないで、世界に対して友好的な平和国家になる可能性が高いでしょう。
内部抗争開始後5〜10年と言わずに出来るだけ短期間に割拠した安定状態に到達してくれるのが、我が国にとってはもっとも望ましい状態です。

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