2014/07/14「資金導入と企業誘致1」まで書いていた中国の資金導入政策に戻ります。
中国では外資に土地を高く買わせてうまくやっているつもりでしょうが、結果的に国土の切り売りをしていることになります。
外資はイザとなれば土地を投げ売りしてでも逃げますから、国民保有よりは不安定ですが中国の場合、国民が率先して国から逃げ出す国民性ですので、金にさえなれば外資でも国民でも大して変わりがないと言う判断です。
ただ、外資や利にさとい国民性はバブル崩壊が一旦始まれば歯を食いしばってでも踏ん張る人が少ないので、下落が始まると一方に傾く力ばかりが働くので大変なイキオイになる可能性があります。
成長期待のときは国民がみんな借金してまで投機に走りますし、下がり気味になると先を争って売り逃げしようとするなど極端に触れるリスクがあります。
今後資金導入が内需目的に入れ替わって行く(最近の日本から中国への進出企業はサービス業=内需目的が中心になっています)と、外資の製品を輸出することで外貨を稼げません。
当面は市場の大きな中国に工場を造り、そこを起点に消費の少ない東南アジアに輸出することも含めた内需企業中心でしょうが、東南アジア市場が大きくなって来ると中国から輸出しないで東南アジア諸国自体に工場を設けようとする外資が増えて行きます。
ベトナムの例で言えば、市場規模が小さかったので中国での生産基地からベトナムへ輸出していましたが、中越紛争で中国からの輸出が難しくなれば、外資はベトナム市場の将来性を勘案して中国での生産を縮小してベトナムまたは周辺国の工場新設または拡大を始めます。
近年では中国への投資額が韓国の約10倍くらいになっている現状を2014-7-4「海外進出と国内生産過剰4(人口過剰3)」
で紹介しました。
日本は韓国より中国への直接投資の方がここ何年も大きくなっているように、5〜10年すると新規需要地である東南アジア諸国へ直接工場立地が始まりひいては先端(日本の本国より数段遅れている技術にしても)技術移転し始めます。
反日感情の程度などは切っ掛け・スパイス・動機にはなるでしょうが、反日暴動があってもなくとも、経済原理上は現地需要に比例した進出が進む構造になっています。
中国民族系企業が急いで東南アジア等に進出した場合、持ち前のバイタリテイーによって、進出先で先進国をトキには出し抜くことが可能かも知れませんが、自前の技術創造力が乏しいと長期的展望がありません。
自前の先端技術開発競争力のない中国企業が海外進出しても、すぐに現地立地の日系企業よりも遅れた技術で競争する時期が来てしまいます。
今後中国の貿易黒字は、赤字輸出または国民生活を踏み台にした輸出に頼らない限り激減して行くのではないでしょうか?
アラブの「春」とその後の混乱は民主主義運動でも何でもなく、石油代金分配システムが機能しなくなったことから起きていると大分前に書いたことがあります。
中国もアラブでの原油代金に代わる外資導入政策で巨額資金を国民に分配できていたので、正統性のない政権を維持できていたのですが、この分配資金が枯渇すると大変です。
輸出による外貨獲得の見込みが急速に薄れて行くと、資金減対策(兎も角金が欲しいのです)として外資を呼び込むしかありません。
輸出基地に限定すると外資が進出する見込みがなくなったので「内需目的の進出でも良いよ」と上海に自由貿易特区を作って「金融資本進出も認める」しかなくなった・・その前提には、今後製品輸出競争力が低下する読みがあってのことです。
輸出・・貿易黒字が減って来ると、中韓両国にはまだ国際展開している民族系企業が少なく、僅かの海外進出企業からの収益送金では到底大量の国民を養いきれません。
外資を利用して国内かさ上げして来た咎め(他人の金で良い生活して来た)と言うか、今後中国から海外収益送金が増える一方ですから、実は大変な事態が待っています。