中韓両国では今なお底辺層は大変な状態ですから、ココから脱却するための手っ取り早い方法として高学歴願望が肥大しています。
中韓の急速な高学歴化や留学生の急増は、いわゆるアメリカンドリームの中韓的(儒教的?)実現のための手段としての高学歴願望ですから、蓄積された経済力に裏打されて教養・文化を身につけたくなって自発的・内発的に高学歴化が進んだものではありません。
日本の女性で言えば、高度成長期に少しでもゆとりが出ると、仕事の帰りにお茶や生け花を習ったりしていましたが、これは自分自身の内発的文化水準を高めたいという向上意欲の現れです。
何も身に付けないで、玉の輿を夢見ていたのではありませんでした。
こうした内発的向上意欲による努力で地力をつけた結果の高学歴実現ですし、企業構成も江戸時代からの順次発展の結果ですから、富士山の裾野のように中小零細から大企業まで形よく存在していて、足が地に着いています。
中韓両国の場合、自前の中小企業が成長していない内に巨額外資導入や外資系大企業進出を受け入れたことによって、イキナリ発達した財閥系と、外資系企業勤務などと旧来型生活との大きな落差になってしまいました。
財閥系や外資系企業に就職することに引き換えて多くの国民にとって、おかれた境遇があまりに悲惨なために、先ずは地方から都市部の近代向上への就職ラッシュ・・農民工の大移動ですが、その次の世代では、農民工からの脱却願望として命がけの脱出・脱走のような意識で何にも増してしゃにむに実現すべく高学歴に挑戦して来たように見えます。
自己啓発目的の(出世にも金儲けにも関係のないリタイヤー後でも熱心にし生涯学習に励む人が多い)日本人と違い、階層アップは言わば漠然願望ですから、現実的場面で見れば就職チャンス・機会(即物的利益)を得ることが目的になります。
これが満たされないと大変な失望になります。
韓国では教育を受けられるのは李氏朝鮮成立以来ずっとヤンパン(両班)に限定されていたところ、日本統治によって義務教育制度実行の結果、出身に関係なく等しく勉強できるようになったのが大きな社会改革でした。
独立後日本批判をしながらも、一旦平等教育を知った国民を元に戻せないので、日本の始めた平等教育制度は維持されていましたが、それでも当初は高等教育を受けられるのは限られた人だけでした。
漢江の奇跡と言われる高度成長の結果、自己資金をある程度投じられる中間層の勃興とともに、大学進学さえすれば、エリート階層に簡単になれるという錯覚・・願望が膨らんでしまいました。
大卒=エリート・・昔のヤンパン身分(働かないで懐手で生活できる階層への昇格)の幻想が起きたのです。
ちなみに韓国の大学進学率は、以下の通り世界最高水準ですがこれは考えが進んでいるのではなく、前近代的身分秩序意識が払拭されないままで、少しばかりお金を得た庶民が夢の実現に暴走した結果です。
以下は日生基礎研究所からの15日現在ネットにでていた(韓国人らしい人の書いた)論文のコピーです。
http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2012/eye120813-2.html
「韓国の大学進学率(以下、進学率)は、OECD加盟国の中でも高い水準にあるが、最近に入って少しずつ低下している1。2008年に83.8%で頂点に達した韓国の進学率はそれ以降下がり続け、2010年には79,0%2まで低下しているが、まだOECD加盟国の平均(2008年、57%)を大きく上回っている」
学歴さえ得れば特定階層に変身できるという(アメリカンドリーム的韓国式)願望による進学率急上昇ですから・・社会のニーズに関係もなく・・あるいは自己レベルアップが目的でもありません。
中韓両国では、外資=世界企業導入による一足飛びの大企業成立ですから中小企業が育っていないので、大量に大卒が輩出されても大企業(財閥系)幹部以外の受け皿がありません。
上記論文では日本の専門学校生も含めると日本と韓国は進学率とほぼ同じらしいですから、専門学校がほとんどないことが分ります。
専門学校生は言わば現場技術者向けの進学コースですから、(働かないことが格好いいと言う儒教的価値観にこだわっている韓国では・・これは私の意見です)こう言う専門学校が殆どないのは、発展段階がいびつであることと、身体を動かして働くことに対する抵抗感の強い間違った儒教意識などが原因で中小企業が健全に育っていないからです。