文化受容力と国民レベル(GDP)2

24日は、自宅でのクリスマスの代わりに東京地裁の帰りに、丸の内ビル街を散策してイルミネーションを楽しみ、最後は東京駅ステーションホテルでお茶をして帰りました。
23日のGDP統計の意味に戻ります。
政府操作によってどうにでもなるような基準ではない・・各種娯楽産業・芸術祭や万博・サーキット・デイズニーランドその他各種イベント・・(金儲けや国家威信に直接繋がらない)文化的なモノゴトに実際にどのくらい自然な集客出来ているか・国民が自分のお金をどれだけ文化に使えるかが重要な指標です..。
江戸時代には庶民参加の浮世絵や歌舞伎・相撲興行・俳諧・各種草紙類・芸術文化や旅行等々庶民が芸術文化の担い手になっていたのは世界中で日本だけです。
しかし、将来各種イベント集客力が国力基準となれば、これも国の威信を掛けた大会では実態が出ません・・。
北京オリンピックでは集客がままならずに無料券を配ったり大量に兵士を入場させたりして、言わばサクラによる入場者数の嵩上げが公然と行なわれていました・・。
さすがに実力以上に生産した鉄鋼製品・・在庫の山や需要無視して敷設した鉄道や超高層ビル群・マンションでは、国家威信のためとは言え、無料券を半永久的・継続的に大量に配布出来ないでしょうから、在庫の山を買い支え続けられない・赤字垂れ流しになって下支えに無理があって誤摩化せません。
中国の新幹線はガラガラというのが、もっぱらの噂ですから赤字垂れ流し状態では走らせられないでしょう。
上海空港からのリニアモーターカーも走っているのを、見たことがないと言う話を良く聞きます。
日本の場合、東京オリンピックの後にも国立競技場が今まで現役で使ってきましたが、それだけの需要が国内にあったことを証明しています。
(2020年東京オリンピックが決まった結果、建て替える話題になって来ています・・このニュースで私が学生時代にニュースで見ていたあの競技場がまだ現役であったことを知りました・・私自身は信濃町駅近くの体育館で行なわれたオリンピックの体操競技だったかを見に行った記憶です)
中国では北京オリンピックの後に開会式に使った競技場の利用需要がないので、(いつまでも無料開放とは行かないでしょうから・・)どうして良いか分らない状態に陥っているようです。
韓国では日本との共催によるサッカー世界大会の入場料収入が少なくて困っていました。
次回韓国で始めて開催される冬のオリンピックでも、同様の問題が起きることは必至の様相です。
客がいるから・・それだけ社会が成熟しているから誘致・開催するのではなく、「誘致出来れば社会成熟している」と威張れる・乗客需要がなくとも新幹線の敷設距離が長ければ威張れる・・テナントがなくとも超高層ビルの数が世界一になったら威張れる・需要がなくとも「銑鉄生産量が多ければ威張れる」という逆の発想・・国家威信ためにやるからこう言う結果になるのです。
実需に基づかないことをやっても、国策の場合、数年は無料券配布や補助金・国有企業中心なので経済原理に反した行為を誤摩化せるでしょうが、その咎めが積もり積もって・・バブル崩壊が目前に迫っています。
世界中で万博が黒字になっているのは、日本だけ・・あるいはFIやデイズニーランド等も日本以外は苦戦しています。
今やアメリカ発祥のジャズでさえ、日本以外ではマトモな公演が出来ないようになっているらしく、世界的奏者は日本で公演するようになって今やジャズの本場は日本になっていると言われています。
最近、競馬でさえ世界の1流騎手が頻繁に来日しています。
世界三大テナーで有名なドミンゴが、東北大震災直後に日本を励ますために日本に来たニュースがありましたが、日頃から日本公演が多い・・商売になることによります。
国際的なエンターテイメントや美術品が実際にどの国で多く開催されているか・・民間の支持力こそが、その国の文化バロメーター・・余力というものです。
政府後援でない純然たる民間の受入れ能力差が、文化力・本当の国力差ではないでしょうか?

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