民意に基づく政治3(大統領制と議院内閣制2)

固定した任期制→大統領は政策決定を一任されている制度設計ですと、この間に民意を反映しないで一方的な政治を行うことによる国民のフラストレーションが蓄積して行きます。
韓国では、政権・求心力維持のためにこれまでの歴代大統領は政権末期になると反日意識を煽る形が常態化して来たのが軍事政権から韓国民主化以降の対日感情悪化の歴史でした。
これに対して国民の意向がモロに影響する仕組みにした結果、短命政権の連続でどうにもならなかったのが、戦後のフランス(ド・ゴールによる第五共和制成立以前)やイタリアでした。
日本の政権がしょっ中信任を問われることになっている・・その結果数年平均で政権担当者が変わるのは、制度的には議院内閣制によるものですが、古代から衆議に従って決めて来た長い歴史を背景にしています。
日本の政権がいつも国民の信任に曝されている例では、第一次安倍政権も就任後の参院選敗北が退陣の引き金でしたし、民主党の鳩山政権も成立約半年後の参院選の敗北が退陣に繋がりました。
今回の第二次安倍政権で言えば、昨年暮れに成立してこの7月には参院選で信任を問われます・・今回は勝つでしょうが・・。
日本の政権は短命で恥ずかしいと欧米かぶれのマスコミによって揶揄されますが、このようにしょっ中民意による信任が問われる政体こそが、本来民意に従う政治としては究極理想の姿です。
しかも総理がしょっ中変わっても混乱なく政治が行われて来た面では、世界でも驚異的安定社会と評価すべきです。
日本の政治家は自分の思想を押し付け導く指導者ではなく、民意のまとめ役だからです。
社会の実態が日々変化していて、国民の意思は日々徐々に変わって行くのが当然ですし、政治家が敏感にこれを反映して政治をして行くのがそれこそ民主主義の極意です。
政権担当供給源が同じ組織の場合、如何に民意に敏感でも一定の方向性を変えられない・・硬直性が避けられませんので、だからこそ開国・近代化しかないと言う方向性が国論として一致していたのに明治維新が起きたのです。
民主党も自民党も経済成長が必要・・原子力被曝から国民を守る必要等方向は一致していても、ときには政権交代が必要なのです。
日本のように数年単位で政権担当者が変わって行くのは、方法論的微修正をするための時代即応性があってフレキシブルで良いことです。
政権担当者が(民意よりは)自分で決めた方向へ国民をぐいぐい引っ張って行く強力なリーダーシップを前提にする日本以外の国々の政治の場合、1年〜数年ごとにリーダーが変わるのでは、その都度180度向かって行く方向が違ったりするので、政策の継続性がなく右往左往して混乱するイメージ・マイナス評価になります。
日本のように政治家が方向付けするのではなく、時々刻々に変わって行く大方(国民)の意見をソンタクしながら政治をして行く社会では、母集団が同じですから、選出される政治家が変わっても政治方向がそれほど大きく変わることはありません。
任期が数年刻みでも1年刻みでも実はそんなに大きなブレが生じないどころか、逆に期間が短いために大胆な方向転換出来ない(点が危惧される)社会になっていて、世界の常識(政権交代すると継続性がなくなる心配)とは真逆の効果が生じています。
大きな改革には4〜5年でもどうかな?というくらい我が国では時間がかかるのですが、2〜3年で政権を引き継いで行くと次の人は「前任者の政策を継続します」と言っても、熱意が違うので尻すぼみになり勝ちです。
長期政権でないと大胆な改革・・変革が出来ない社会ですから、日本は世界とは逆バージョンです。
世界ではエジプトの7月3日の軍事クーデターの例を見ても、1年ごとにイスラム原理主義か世俗主義方向か?と政権が変わる都度大きく変わるのが普通ですが、日本は逆にくるくる変わると、却って大きな変革・方向性の変化の出来ない社会・安定社会です。
短命政権が何故世界の信頼を失うのか、日本以外の世界の実態・・政権交代=大幅方向性変更を前提にした欧米の価値観を受け売りしている日本マスコミの現実理解能力を疑います。

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