事前規制・・ルール化の効用に戻ります。
細かな規制をする以上は、予想外の震災や事故等があれば耐震基準その他の対応基準がより精密になって行くように今後規制が詳細化する一方です。
その代わり、柔軟対応能力が必要です。
歩く程度ならばブレーキは不要ですが、自転車以上にスピードが出れば出るほどブレーキが必要になるようにモノゴトは高度化に比例して操作方法が複雑になります。
早くなれば方向転換能力(規制変更適応力)も比例して上げて行くしかないでしょう。
10日ほど前に私が出席した審議会では、大災害時の高齢者等弱者避難援助に関して、これらの名簿を町内会等へ配布する場合の基準造りに関するテーマでした。
このように着々と法(その下位の条例等の明細基準)整備が進んで行くと、法があってこれを受けた条例や内部規則が出来ている方がこれに従って町内会等に配布すればいいし、町内会長も関係者に配布するのに基準があった方が現場が迷わずに運用出来てスムースです。
運用の結果、その基準では実質的プライバシー侵害になる場合は,この基準自体が違法だと争う場合があるとしても、(もし基準に不備があって違法ならば新たな基準がそのときに定立されるので)一種の代表的裁判で終わってしまい事件数が大幅に減ります。
予めの配布基準を作らず放置していて、それぞれ現場での自己流の解釈でこの辺の範囲まで名簿を配っても良いだろう式でやらせた後で、広く配布し過ぎれば被害者はプライバシー侵害で訴えれば良いし、配布した方は無関係な人にまで配って訴えられるのは判断ミスだから自己責任というのではあまりにも乱暴過ぎます。
行動基準がないと萎縮し過ぎますし、無鉄砲な人だけが運用すると訴訟が増え過ぎます。
社会生活が円滑に進むには事前の明細基準整備・・マニュアル化が重要なことですから、行政の意思決定過程に(各種規則制定過程に)外部有識者による審議会等が多用されるようになります。
審議会出の実質的決定が増えて来ると審議会にかける以前に事務局作成の草案作成過程でも、7月25日に書いたように専門家が参加するようになって来たのは必然の結果でした。
野党になって外で反対と叫んでいるだけでは無責任ですから、公明党のように与党に入って少しでも意見を通す方に行くのも1つの方法です。
秘密保全法(スパイ防止法)制定機運のもり上がりに比例して、人権侵害リスクに敏感なグループでは反対運動が盛んになっていますが、反対と叫んでいるだけでは、中国韓国等の反日戦争でも始めかねない勢いを見ていると「スパイの好きにやらせておけば良い」という国民は少ないので法律になってしまいます。
本当に人権侵害が心配ならば、法律が出来てしまうのを座視するよりは、審議会・作業部会等に入って、人権侵害にならないように歯止めをかける工夫・努力をする方が合理的ではないでしょうか?
何事も決めるときに意見を入れてもらうよりも、決まったことの変更を求める方が大きなエネルギーが必要です。
民主党は沖縄の普天間基地問題で見込みもないのに、野党の気落さで反対ばかりしていて、政権を取って困ってしまいました。
企業では、株主が後日総会で社長らの責任追及するよりは、取締役会議の意思決定過程を合理的にチェックする社外役員が要請されるようになって来たのはこのような理由によります。
不祥事があると直ぐにマスコミが社外取締役の必要性を宣伝しますが、社外取締役の存在意義は不祥事チェックのためではなく、意思決定過程に内部昇格のイエスマンばかりではなく外部者の健全な意見反映を狙ったものであって、不正防止は副次効果と言うべきでしょう。
これと言った行動基準がなくて事後に争う制度・・アメリカのような訴訟社会は、事前にきめ細やかなルール造り・・合意の出来ない社会に必要な現象です。
きめ細かく決めておかないで行動するから事後にもめ事が頻発する社会は、価値観の一体化している(昔から暗黙裏に細かな行動基準の合意のある)日本文化から見れば、周回遅れの野蛮な制度ですから訴訟社会に憧れて真似する必要はありません。
法を整備さえすれば進歩した社会になるのではなく、その前段階、そのまた前段階の微細部分までみんなが理解出来、守ることの出来る社会こそが進んだ社会です。
我が国では法・・監視があるから守るのではなく、自発的に礼儀を守り家の周りを綺麗にするし、ゴミを散らしません。
礼儀作法・生活作法に至る隅々まで暗黙裏の社会合意のある社会でした。