上海総合株価指数2

汎用品の製造基地としての中国の将来性に疑問符がついてからは、中国の人口が多いだけを取り柄にして消費市場として期待するマスコミ報道が多くなっています。
製造業としての発展性がないと世界からより高度な産業の誘致が難しいし、ベトナム等の追い上げでローエンド製品向け職場が徐々に奪われて国民個々人が(失業増大で)貧しくなって行くとすれば、消費産業を継続的に吸い寄せるための投資資金の流入継続を期待することは不可能です。
今はまだ下着で町中を歩いたりサンダル等で歩いていた人たちが上着を来たり靴を買うようになったり冷蔵庫を買うようになったことによる一巡までの新規投資が始まったばかりですが、一定水準までかさ上げすれば、その段階で新規投資(資金流入)は停まってしまいます。
5〜6年すれば投資資金の回収が起きて逆に日本等へ資金(利潤)が還流する時代が来ます。
近い将来、所得水準の向上が期待されてこそ消費産業が継続的に現地投資したくなるもので、この期待がないときには人口だけいくらあってもアジア的停滞を免れないことは、解放前の中国や最近までのインドやバングラデッシュやインドネシアを見れば分ります。
中国が所謂ローエンド製品製造からもうちょっと高度な製造業へ脱出出来ないままで、製造業への投資減少分をスーパー等の出店投資導入で穴埋めしようとしても(消費材向けであれ当面資金が入って来る点は工場投資と経済的には同じとしても・・短期資本流入よりはマシでしょうが・・・)先が暗くなります。
規模を小さくして比喩的に言えば、日本の夕張市や釜石のような企業城下町があって、そこの主要産業が縮小〜閉鎖した場合、その代わりに大規模スーパーを誘致してもどうにもならないでしょう。
ローエンド製造品に関しては、現在ベトナム・ミャンマー等・・最近話題のビル崩落事故で言えばバングラディッシュ等への新規投資シフトが進んでいます。
既存投資の引き揚げまではいかないまでも・・新増産分が後発国へシフトしているとすれば・・ひいては中国への新規外資流入がその分減少し、流入資金を元手にした成長投資が減りますので、中国経済は前年度比何%という成長は出来なくなります。
自分で汗水たらして稼いだのではなく、外資が入って来た不労所得であれば、無駄なビル建設・鉄道工事等で名目上GDPを上げることは出来ますが、外資流入分を除けば実質的には成長どころか下降現象に陥っているのではないか・・中国政府発表の目覚ましい(粉飾的)前年比7%台の成長数字とは逆の疑問を抱いてこの2週間ばかり書いています。
人によっては、中国は昨年あるいは1昨年あたりから実質マイナス成長に落ち込んでいるとも言われています。
(こうした意見は全て公式統計の欺瞞性を前提にする以上は、公式統計を利用出来ないので、憶測記事でしかありません)
これに関する正確な統計がないので漢方医の糸脈診察同様に(参入規制があるとしても一応のトレンドが分るので)株価指数によって見るしかないというのが、4月29日前後以来のシリーズ・意見です。
株価指数を見ようとしている内に、短期資本取引自由化をその内認めるかのような発言が出て来て、上海株式市場のトレンドが短期的に上向くようになりました。
前置きが長くなってしまいましたが、この辺で株価指数のグラフを紹介しておきます。
この原稿を書き始めていた4月28日ころには上海株価総合指数は下降1直線トレンドでしたが、これに対する危機感の結果?李克強首相による短期資本取引自由化示唆発言報道等で(株式市場への資金流入期待によって)ここ10日間くらいは少し盛り返しています。
下降局面にある経済実態に反したテコ入れ効果は、仮に本当に資本自由化を実施したとしても半年〜10ヶ月程度しか続かないのではないでしょうか?
今のところ上海株価総合指数が一応当てになるデータとして(まだ改ざんされていないと信じて)、ヤフーファイナンスの上海株価指数の内3ヶ月間の表をコピーすると以下のとおりです。

(上海総合株価指数)

 

関連で日経平均もヤフーで(これは6ヶ月)見ておきますと以下のとおりです。

(日経平均6ヶ月間)

     

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC