個性と成長2(開国の意義1)

鎖国とは一切の交流を塞ぐのではなく政府や特定商人だけに窓口を開くものですが、幅広い国民同士の全般的な交流に広く開かないと、民族間の細かなヒダの違いまでは分りません。
世界中と庶民に至るまで幅広く交際して世界の進運に乗り遅れないためには、開国・幅広い交際が必要であったことは、今から考えても間違いではなかったでしょう。
以前にも紹介しましたが、もう一度明治憲法前文の一部を紹介しておきましょう。

明治憲法
告文
皇朕レ謹ミ畏ミ
皇祖
皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ承継シ旧図ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ発達ニ随ヒ宜ク
皇祖
皇宗ノ遺訓ヲ明徴ニシ典憲ヲ成立シ条章ヲ昭示シ内ハ以テ子孫ノ率由スル所ト為シ外ハ以テ臣民翼賛ノ道ヲ広メ永遠ニ遵行セシメ益々国家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八洲民生ノ慶福ヲ増進スヘシ茲ニ皇室典範及憲法ヲ制定ス惟フニ此レ皆・・省略

上記のとおり、開国の必要性について明治憲法でも「・・顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ発達ニ随ヒ・・」と明記されています。
明治維新当時の西洋列強のあくどい戦略や、今の中韓のやり方があくどいからと言って交際しないのは間違いです。
弁護士の場合、いろんな悪い事例を事件を通じて知っているので、防衛策を助言出来るのですが、そのことと弁護士自身が悪いことをしたり悪い方法を教える必要がないのと同じです。
日本人は中国人や韓国人の悪辣な手法を理解して真似るのではなく、あるいはユダヤ資本のやり口を知っていても、あるいは経営者の巨額報酬の取り方をそのまま身につける必要がありません。
日本の経営者・政治家は、これらを知った上で日本流の正しいやり方で、したたかに対応する能力を身に付ければ良いのです。
数年前にアメリカで謂われなきトヨタタ叩きがありましたが、トヨタはこれに正面から反論したり、虚偽申告していた人を刑事告訴・民事賠償請求すらしていません。
(レーダー照射事件も毒餃子事件に対する反応でも同じですが、韓国や中国の場合アメリカ流に先ずそんなことはないと反撃していたでしょう)
ソフトな日本流やり方が、今ではアメリカでの信頼獲得に貢献しているようです。
アヘン戦争という大義のない戦争・占領に驚いた我が国では、野蛮で、猛獣のような西洋列強を批判しても相手には道義心がないのですから意味がありませんでした。
幕末攘夷論・・ひいてはこれに連なる現在右翼のTPP反対論は「こんな悪い輩とは一切付き合わない」という分り良い意見ですが、それでは世界情勢・科学技術の進運に取り残されてしまったでしょう。
明治政府以降現在に至る開国方針は、正しかったと思います。
開国を決めた明治政府は先ずは自衛力の向上に力を入れると共に列強の気風を学んで、これを取り入れて行く必要性を理解していたものの、どの分野でどの程度受入れて行くかのサジ加減は、本当に難しいところでした。

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