最低レベル競争の有用性5(民族のDNA2)

政治の目的は最低レベルの引き上げにあるとすれば、日本は極限状況下でも犯罪が起きないのですから世界で最も政治や教育のうまく行っている社会と言えるでしょう。
最低水準の底上げこそが重要だとすれば、ノーベル賞・オリンピックその他の競技でトップを競うのではなく、今後は最低レベルがどこにあるかを競う競技の仕組みを考案することこそが、生身の人間の幸福度を測るには重要です。
世界大富豪長者番付100位以内が最も多い国や都市が、生活し易い社会かと言うと、そうではありません。
むしろ大富豪やその家族が出歩くのにいつもガードマンを10数人引き連れないと安心して歩けないような国や都会、あるいは自宅が何千平方メートルの豪邸でも敷地を出て数十〜数百メートル歩くとその先は貧民街のような都会よりは、日本のように大富豪にランクされる人でも小さな家に住んで、どこまで歩いても綺麗な街並の続く日本の丸の内や銀座〜麻布六本木等の繁華街や住宅街を好きなだけ一人で歩き回れる方が、なんぼか気楽で生活し易いことが明らかです。
その社会の快適性は富豪や各種分野での世界ランキング保持者(上位者)の数ではなく、その社会を構成する最低レベル者の意識レベル次第で変わります。
世界一綺麗好き人口が多くいても、道路に痰を吐き、ゴミを捨てながら歩く人が一杯いれば街は汚くなります。
国威発揚のために過去のソ連・・中国ではいまでも特定選手等のエリート養成に必死になっていますが、言わば一点集中すれば北朝鮮だって可能ですから社会のレベルを計る基準にはなりません。
テストで言えば、出題される問題だけ特訓勉強して100点取って自慢しているようなものです。
世界一のお金持ちやスポーツ選手・学者等の数ではなく、最低生活水準や最低道徳水準をどこまで引き上げている国・社会であるかこそがその社会の価値です。
科学技術でも同じことで、衛星や大陸間弾道弾を成功させている一方で首都では市民が有毒スモッグで呼吸すらまともに出来ない国造りをして自慢しているのって、何のために政府が存在しているのか疑問です。
スモッグをやめる技術は既に何十年も前から既に開発されていて、日本では何十年も前に克服していますが、中国は国民のために使うお金を惜しんで、軍事費や公安にお金を掛けています。
脱硫技術等公害防止技術を日本からお金をかけて導入しない・・導入してもコストがかかる(フィルターをしょっ中取り替えるコストが膨大らしい)からと言って外してしまうようです・・毒入りミルク事件と同様で国民の健康よりも自分の利益ばかり気になる国民性・道徳意識の社会です。
レアアースでも世界中で採れますが、中国の場合公害・健康被害を無視して無茶苦茶に開発していたから世界一コストが安くて(国民の健康悪化と引き換えに)市場を席巻出来ていたに過ぎません。
政府やその社会のレベルは、トップクラスや最先端に何人いるかではなく(その種の競争は一点集中投資すれば可能ですので北朝鮮のロケット成功の例でも分るように簡単です)最低生活レベルをどこまで保障しているか・最低者の道義心レベルがどの辺に落ち着いているかによると言うべきでしょう。
そして、この種の底上げは一点豪華主義で特定少数者に対して集中教育しても出来ませんので、何世代にもわたって形成されたDNE・社会のレベル・・文字どおり民度になります。

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