最先端社会に生きる4

個人の比喩でいえば、一定レベルの収入に達するまでは高成長が必要ですが、何千万円単位の年収になれば、その高原状態を維持出来ればいいのであって、際限なく前年比アップの収入を必要とはしません。
日本はバブル期以降安定収入を維持していれば、世界最高水準の収入ですので、それで「足るを知る」状態で満足しているのは正しい生き方です。
昨年連載しましたが、(国際収支表や為替相場も具体的に紹介しています)我が国はバブル崩壊後も国際収支は毎年20兆円前後の黒字を続けてきましたし、国内総生産もマイナスではなく微増を続けてきました。
上記は円表示ですが、この間に円の対ドル相場は、140円前後から、昨年秋ころには70円台に上がっていたのですから、ドル表示でいえば(手取り給与が同じならば)実質生活水準が2倍に上がっていることも書いてきました。
私の寝室の空気清浄機が年末に壊れたので直ぐに買い替えたのですが、15年ほど前にネット価格4万円前後で購入しましたが、今回は同じメーカーで2万円足らずでしかも当然のことながら機能が高級化しています。
ホンの20年ほど前には総武線(千葉東京間)でも快速だけしか冷房が効いていなかったので、帰宅時に快速を選んで乗って帰ったものですが今ではどんな電車でも冷暖房付きが普通ですし、バスまで冷房が効いています。
その他駅舎が綺麗になったり、自動改札で便利になる一方ですが(大きな駅ではエスカレーターやエレベーターの設置のない駅の方が少ないでしょう)その間に運賃が上がったことはありません。
携帯やパソコンその他電子機器の利便性の進歩も目を見張るばかりですが、それも20年前に比べれば天文学的?に値下がりしています。
昭和61年に二人目のイソ弁が私の事務所に入りましたが、そのとき彼が月賦だったかリースだったかで利用していたワープロの総支払額が数百万円もしていました。
バブル崩壊後名目給与や収入が上がって行かないので苦しいように思う人が多いのですが、内容的に見れば、バブル崩壊以降生活水準が二倍以上に良くなったと日頃からいろんな人に言っていますが、今回も具体的に確認出来たばかりです。
このように日本全体では高原状態に達していて生活が安定していて生活水準が良くなるばかりの状態であるのに何故かマスコミは政治批判・不信感の表明をすることが日常業務のようになっています。
マスコミは何が不満で政治に何を求めたいのか理解不能です。
するべき目覚ましいことがない→目覚ましい業績を上げられない→政治不信の増幅を狙っているのでしょうか?
今では(少子高齢化や、デフレその他経済現象は日本が最先端を走っているのであって、この解決には)欧米の真似さえすれば解決出来る時代ではありません。
例えばバブル崩壊後のデフレ現象欧米は意味も分らずに「日本の失われた20年」と揶揄し、これを欧米かぶれの学者やマスコミが有り難がって吹聴しています。
日本は世界最低賃金国の中国の隣国であることと日本企業自身が(野菜その他日本企業が進出して栽培法を教えて)中国へ進出して安い製品を洪水のように日本へ逆輸入して来たことから、消費者物価の下落を招いてデフレに困るようになっていたことを繰り返し書いてきました。
金利をいくら下げても紙幣をいくら増発しても、供給が一定している閉鎖社会とは違って輸入が増えるだけで中国からの輸入農産物等が上がることはあり得ないことについて、Aug 11, 2012「健全財政論12(貨幣価値の維持6)」あたりまで連載しました。
開放経済下では、国内消費者物価は輸入物価に左右されるしかないのが現状であって、物価が上がるとしたら中国や新興国の人件費が上がったり、原油その他の資源価格が上がる(円安でもそうなります)ことが原因であって、日本の金利政策や内需投資によるものではありません。
工業製品・・例えば車・テレビやアイパドがいくら売れても、内外企業は増産するだけで価格上昇が起きません。
日本のデフレは過去の事例とは異なり、閉鎖社会・供給に限りのある社会構造を前提とする伝統的経済学による金利下げや紙幣増刷ではどうにもならないことを上記コラムその他で繰り返し書いて来たとおりです。

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