悪しき隣人との交際2

よそ者は他所ものに徹するべきですが、日本人は定住が生活の原則ですので、行った先で「骨を埋める覚悟」で出て行くのが普通です。
「ある程度儲けたらその国から逃げ出せば良い」「そのときそのときに住み良い所・外国でもどこでも移れば良い」という中国や韓国人の発想とはなかなか相容れません。
ただし、国内移動に関しては故郷にこだわらず住み良いところにドンドン移動して行けば良いと言う価値観が我が国でもちらほら出て来ていますから、これの国際版と思えば日本人の意識が遅れているだけかも知れません。
企業で言えば三菱商事の約4割を稼ぐ中核事業である金属販売事業部門を別会社にして本社をシンガポールに移すというニュースが昨日(21日)日経新聞夕刊第一面に出ていました。
理由は地の利が良いことの外に、日本では法人税が40%だがシンガポールでは17%に過ぎないことその他です。
本社部門が海外に出て行く税収だけではなくその部門の人材約400人(金属販売事業の場合)が失われますが、ほぼ高給取りの職場ですから大変な事態です。
(出張旅費や会議開催の多さ・訪問者や夕食会その他ビルの賃料収入または維持費等本社社員は、労務者の1000〜2000人よりも各種大口消費者で関連裾野が大きいのです)
これを今後も日本企業というのかという大事件です。
三菱商事の事例は象徴的なだけで、その他の日本企業も既にかなりシンガポールやタイなどに事業本部・分社化して本社を移転しつつありますし、アジア統轄本部を日本においていた外資もシンガポールなどに移転して日本の法人は日本国内ローカルのみを扱う機能に絞られつつあります。
最近中韓の攻撃を受けて民族意識が高揚されていますが、企業の世界では民族間の争い自体をあざ笑うような動きが出て来たことに注目する必要があるでしょう。
これまで地方で成功すると地域の大都会・・大阪や名古屋などに進出して地方県から大阪本社などが出来、その内東京本社になって行く動きまでは国内移動なのであまり問題になっていませんでした。
地方で一生懸命に育てても優秀な人材が出ると大都会ひいては(大学進学に始まって就職その他で)東京に吸収して行くので地方が衰退する一方になるという意見を10/02/03「地方自治と人材3(憲法38)」前後10/06/06「地方の人材確保2」などに書いたことがあります。
これが人材や資金の東京1極集中の基礎でした。
今後は本社機能の国際獲得競争時代が来ているのですから、日本人は民族紛争みたいな19世紀型感情論にうつつを抜かしている暇はないでしょう。
日本としては北方領土や尖閣諸島問題よりも本社が次々と外国・・例えば中国へ移ることの方が大事件ですから、阻止・・あるいは逆に誘致に最大のエネルギーを注ぐべきです。
(無人島1つ取られるよりは損失が大きい・尖閣諸島の帰属による雇用の増減と三菱の中核事業本社が海外に出るのとどちらが雇用の質に与える影響が大きいかの問題です)
この後で京都と東京の都市活力・レベル比較で書いて行きますが、都市機能(民族)の優位性は優秀な人材の需要・蓄積があってこそ成り立ちます。
せっかく育てた企業の本社が外国に移って行き、優秀な人材が流出し続けると(国内の地方疲弊と同様に)日本民族の優位性が失われ将来が危うくなります。
自民党は選挙公約では勇ましいことを主張して政権獲得しましたが、子供の喧嘩みたいなことにエネルギーを使うよりは、企業が生き残れるあるいは新規開業出来る政策こそが求められています。
我が国は極東にあってアジアの中心となるには地の利が不利ですが、アジアのハブ機能を徐々にシンガポール等に奪われつつある趨勢をどのように挽回するかの方策こそが求められます。
日本が極東にあることは昔から同じですが、それでもアジアの統括拠点が日本に長年あったのですから、アジアの端っこにあって地の利が悪いことは言い訳にはなりません。
日本は地道に実力を蓄えてさえいれば、中韓はやっかみしか言えないし強い・勝っている方は悠然と敗者のやっかみを言わせておけば(反論は右翼に任せておいて)良いのです。
むやみに反論すると韓国大統領のように「日本は弱くなった」から、「悠然と見逃せなくなったのか?」と驚かれることになります。
本社機能がドンドン出て行って日本の人材が空洞化して実際に日本人が中韓よりも弱体劣化すれば、中韓からの謂われなき誹謗中傷はなくなるでしょうが、その代わり大阪のように生活保護所帯が増えてくると勇ましいことを言う・・内政能力がなく対外批判する政治家しか当選出来なくなり国内産業がいよいよジリ貧になります。
橋下氏や松井氏は知事や市長でありながら、大阪の経済活力回復をどうするかの政治論が殆ど見えて来ず道州制論や中央批判ばかりしているのは、中韓が内政に失敗していてその誤摩化しのために日本批判に熱を上げているのと同様です。
(この辺の意見は「スケープゴート探しの危険性2」Published February 3, 2012その他橋下氏が大阪府知事の頃に道州制批判等として書いています)

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