1つの国でどこも同じような生活水準を前提にして、しかもみんなお金さえあればものが欲しくって仕方がないような貧しい時代・・供給が一定で増産出来ないことを前提とした物価理論は今や妥当しません。
今やある国が高金利にして緊縮政策をとっても日本がゼロ金利でいくらでも紙幣を発行すれば、資金の欲しい人や企業は日本の銀行から低金利で借金してその資金をアメリカや中国等後進国や資源国等資金を必要としている国で投資すれば良いのですから、緊縮政策は尻抜けになってしまいます。
純債権国・・世界の資金出し手は、世界中の金利政策を支配出来る立場になっています。
アメリカは基軸通貨国と称して基軸通貨国だから好きなだけドルを印刷出来るのでデフォルトはあり得ないという誤った議論が多いのですが、紙幣の印刷だけならば日本も好きなだけ印刷出来ます。
印刷して問題がないかどうかは、、その先・・外国人に自国の国債を買ってもらう必要があるかどうか・・純債権国か否かにかかっています。
海外投資家の購入に頼っている純債務国の場合、債権者から見れば自国より低い金利では買う気がしませんし、紙幣印刷が増え過ぎて為替相場が下落して行くと想定すれば次の国債を外国人投資家が買ってくれずに借換債の発行が札割れになってしまいます。
4月1日と4月12日に書いたようにアメリカの場合、中国その他よりも低金利・・しかもこの先ドルが上がる可能性が低いどころか逆に下がる傾向が明らかにも拘らず高金利国の中国などが大量にアメリカ国債を買っている異常事態が続いています。
アメリカの軍事力を恐れ購買力を期待している外に買い過ぎたアメリカ国債暴落を恐れてのことですが、いつかはこんなことは無理が来るのは確実でしょう。
4月12日に少し書きましたが、中国や日本からゼロ金利近くで環流した資金を元手にアメリカの金融資本は中国その他の国への企業買収資金・工場進出資金向けファンドその他の金融投資に再加工して稼いでいます。
4月13日の日経朝刊5ぺーじによれば、昨年(2011年)の世界への投資国の順位が出ていますが、1位がアメリカで3838億ドル、日本が2位で1156億ドル、3位がフランス1066億ドルと続いています。
借金だらけの国が世界投資額のNo.1・・しかも突出しているということは何を意味するか、日本や中国その他(アラブ産油国等)から還流資金を再利用しているからです。
中国その他の国はせっかく稼いだ資金をゼロ金利近くで運用(アメリカ還流)・・今のアメリカ国債は約2%です・・し、これを高利の金融商品に加工されたものを再輸入・資金を再導入してその差額を吸い上げられているのですが、この仕組みがアメリカドルの下落を防いでいるカラクリでもあります。
昨年秋のギリシャ危機では韓国がまたもや通貨危機直前まで進みましたが、(少しは持ち直したでしょうが、今でも韓国ウオンは大幅下落したままでしょう)これはその仕組み・・資金引き上げリスクによるものです。
欧州(ギリシャ)危機に際して欧州諸国は昨年秋ころから中国からの投資資金を大幅に引き上げたことから中国への投資が不活発になり中国の成長が失速し始め、景気を冷やす要因になっていることでも分ることです。
(今は日本しか投資してくれる国がないので、最近中国はイキナリ対日微笑外交に転じていますし、韓国も最近は静かになっています)
こうした資金引き上げによる経済混乱を恐れていることもアメリカドル下落を阻止している・・あるいは理不尽な資金環流が続いている原因でもあり、ユダヤ系・・欧米金融資本のぼろ儲け(いわゆる1%の富裕層)の下地です。