国債発行による資金徴収は、古代での稲モミの貸し出しに代えて、今では紙幣発行してこれを国民に使わせてやる・・それの何割かを回収している関係と見れば良いでしょうか?
税でとるのも借金・国債でとるのも結果は同じと言う意見をここまで書いてきましたが、税なら最後まで返さなくとも良いのに対して、国債の場合利息付きで返さなければならないのが大きな違いと言えますが、実態はどうでしょうか?
実際にはどこの国でも国債や社債は借換債の発行の繰り返しで凌いで行くのが普通なので国が続いている限りいつまでたっても元利を返す必要がありません。
企業の社債発行については、借り換えで繰り返して行くつもりで満期が来てもそっくり返す予定の企業など1社もないと言っても過言でないことを、02/23/07「キャピタルゲインの時代5(修正作用2)社債発行1」で書いたことがあります。
社債でない銀行からの借金でも期限ごとに書き換えて行く(期中利息だけ前払いして)前提であるから、書き換え(法的には新規貸し出し)に応じてくれないと困るので、業者はいつもびくびくしていることも書きました。
このやり方が際限なく続くのは売上増・・規模の拡大が続いている経済の場合です。
元利合計として膨らむ一方ですので、規模拡大が続かない限り最後は払えなくなるのではないかと心配する人が多くいます。
国内資金循環効果としては国債も税収も同じことだとしても、返済能力の心配のある点が大違いですから、この心配について書いて行きます。
企業でも上記のとおり際限ない社債発行の繰り返しを前提に運営されていますが、トヨタその他の大手企業で返済不能に関する心配を聞いたことがないのは、我が国では企業規模が右肩上がりあるいはインフレによる債務の実質目減り前提に運営されてきたからです。
国債の場合も従来のように年々物価上昇が続く時代には、問題がありませんでした。
バブル崩壊以降続くデフレを何とかしてインフレに転換したい・・目標が必要と・・と言う政府企業・マスコミの大合唱の根本がココにあります。
例えば1割のインフレがあれば借金が1割減額されたことになるので、借金だらけの企業や家計・あるいは政府は大もうけです。
無理な借金やローンを組む人が多かったのは、インフレ・・給与その他の名目収入が上がれば返済が容易になる前提でした。
バブル崩壊以降この思惑が逆回転してデフレ傾向・・逆に物価が下落し続けているので、債務の多かった人や企業・・ひいては政府も参っています。
そこで政府も国債残高が累増して行く一方なので、みんなが心配するようになりました。
今回は国債残高が増える一方になってしまったらどうなるかの検討です。
既に5〜10%くらい消費税を上げても返し切れないほど増えてしまっていると見るのが妥当です。
政府と地方自治体あわせて1200兆程度の負債があるのですが、この1%の金利でも年間12兆円も必要ですし、金利が3〜4%前後になれば、現在の税収全額になってしまいます。
現在でも税収の3分の1も払えないのは明らかですから、現在既に利払いさえ税収の範囲で出来ない・・元金を減らして行くのは無理があるところまで来ています。
ところで負債を払えなくなれば、企業の場合は倒産・・整理ですが、政府の場合も倒産でしょうか?
従来企業倒産の場合原則解体処理して何も残らない・・消滅が原則でしたが、最近は会社更生法だけではなく再生法による処理が発達して来たので、倒産したからと言って何一つ残らないのではなく、古くは国鉄→清算事業団化・・近年ではGMや日本航空のように債務を切り捨てて却って身軽になれるので再起する例が増えてきました。