以下仮に競争力だけを基準に為替相場が決まるとすればの話です。
比喩的に言えば各種部品やソフト分野は3〜4割の高収益であり、自動車等組み立て産業が5〜6%の収益しかないとした場合、1割以上も円が上がれば、(ちなみに2007年には1ドル120円平均でしたが2012年1月16日現在では76円79銭です)これまで組み立て産業としては最強であった自動車産業までもが今回振り落とされる番になります。
大震災以降貿易黒字の流れが変わっていますが、長期的に見て赤字が定着したか否かまで分らないないので、大震災までのデータによりますと、グローバル化以降の貿易黒字は多種多様な各種分野の部品・ソフト業界その他の利益率が高い結果によっていた部分が大きかった結果と仮定出来ます。
ここから、 Jan 17, 2012 以来の格差と部品高度化問題のテーマに戻ります。
大規模産業である製鉄でさえ、室蘭製鉄所のの特定の製鋼は世界中から引き合があるそうですからどの業種が部品として成功していると一概に言えない時代です。
(繊維系でも転進に成功している企業とじり貧のままの企業があることを東レやクラレの例とともに既に紹介しました)
とすれば、(所得収支黒字等があるので仮定形です)どの産業が強いとは言えない・・旗手となる大企業がないので分り難く、大変だ大変だというマスコミの宣伝もあって国民の多くは日本の産業がなくなってしまうのかと心配しています。
最近の若者の就職先を聞いても、(こちらが年取っているからかも知れませんが・・)なかなか覚えられないのは、特殊な部品では世界で何番というような企業が多いことによるものです。
部品名を聞いてもある部品の中の塗膜部分のような目に見えないようなものが強いことが多いようですから、門外漢には覚えられません。
数年前に島津製作所の田中さんがノーベル賞を受賞したことが象徴的ですが、昔のノーベル賞と違って誰でも知っていることではない・・専門の中を更に細分化した専門分野ですので、聞いても直ぐに忘れてしまうような分野の賞でした。
今日本の経済を支えているのは完成消費材製造販売会社ではないので、今や輸出で稼いでいる企業はその業界の人以外には馴染みのない製品製造会社ばかりになっています。
世界企業番付の上位から日本企業が何年前に比べてどれだけ減ったという記事に韓国、中国等の新興国は躍進に大喜びですし、日本は駄目になりつつあると書く日本のマスコミが普通ですが、儲ける基準の変更に気がついていない・・頭が古いだけです。
貧しい時代には安いものを大量に買い付ける家は景気がよく見えただけで、豊かになるとBC級グルメの大量消費が減るのは当然です。
大量生産品の世界規模を競っても仕方がない・・そんなもので競って喜んでいる社会は人件費安の自慢をしているのと同じ意味しかありません。
今の日本企業は多種多様な業界ごとの小さな部品や金型などで儲けているので、却って3本の矢どころか数百〜数千本の矢になっていて、日本経済は変化に強くなっている・・強靭になっていると言うべきでしょう。
ケイバの馬主で(年間何十億か何百億か無駄遣いしていること)で有名なメイショウの檀那は造船関連部品で世界4割のシェアーを握っているとのことですし、組み立て業としての造船量で世界規模を誇っていても利益率の高い部分は日本がまだ握っている時代になっていることが分ります。
(ケイバで有名になってなければ、殆どの人は知らないままでしょう)