発電所の消費地立地3(コンパクト化2)

産業発展の歴史はすべての分野での小型化競争の歴史でもありますので、先ず発電部門で日本が超小型化競争・・効率化競争に入ることが重要です。
独占(九電力体制)維持のために電力業界ではそんな研究はしたくないでしょうから、今の九電力体制のままでは望み薄ですが・・我が国はものを小さくして行く技術特性のある国民性ですので、この分野の競争にまじめに取り組めば必ずや世界に先駆けた開発に成功して有力な輸出商品になる筈です。
また電気関連はすべての利便設備の基礎ですから、基礎技術が他国よりも早く進化すればそれだけいろんな業種での競争が有利になります。
いきなり今の大型発電所と同効率で、各家庭で使う程度の発電機の小型化までは無理でも、大型ビル4〜5個あるいは数街区規模に供給する程度の中型火力発電所の効率化を工夫出来れば、送電ロスや送電線の建設や維持コストが殆どなくなります。
また、発電所が細かく大量に分散していれば、1カ所の事故があってもその影響は限定的ですし、網の目のようにある隣接発電所からの融通で間に合わせられるので補完性も優れています。
一カ所の事故で大規模な停電が起きる心配がなく、災害やテロに対する安全性も優れています。
ところで、今のところ大型発電所しか効率上造れないとする意見が正しいとしても、(電力会社の独占維持のために発電装置小型化の研究開発費が出ないとすれば、日本にとって不幸なことです)送電ロスをなくし、テロその他の災害ダメージを少なくするには各消費地ごとに大型発電所を分散するのが合理的です。
福島原発では6号機までもあって更に増設する予定で今回の事故になったのですが、1基当たり一定規模の大型発電が必要なことと、一カ所に6〜10号機までも集中して造る必要性とは一致しません。
せいぜい1号機だけよりは集中管理出来て(所長が一人で済むなど)管理コストが安くなる程度でしょう。
管理費合理化程度ならば、送電ロスや膨大な送電網の維持管理費との損得の外に、一カ所がパーになると大規模停電になるリスク等と比較すれば、危機管理上から見ても分散立地する方が合理的です。
10号機まで集中すれば一カ所の警備で済みますが、その一カ所からの送電延長距離が伸びるので長大化した一カ所でもテロに遭うと全部停まってしまうリスクがあって、長大な線に沿った警備や保守維持に苦しむことになります。
超高圧線は山奥・稜線を利用しているので、警備の車が巡回するには不向きで歩いて巡回するしかないのですが、毎日1回も巡回し切れないでしょうし、巡回の合間を縫ってテロリストが潜伏して破壊するのは簡単です。
道らしい道がない場所ばかりなので、破壊されてから修復に駆けつけるにも(資材の搬入にも重機を使えないなど)日数を要します。
火力発電所も同じで、大型化の必要性だけから首都圏の需要を、千葉や神奈川県の大規模火力発電所ですべて賄う必要まではないでしょう。
仮に今のところ大型発電機しか効率が悪くて造れないとしても、最大消費地である東京都区内(輸入原油や石炭に頼る・・大量の海水を使うとしても東京にも海岸がありますよ)に全く発電所を造らないことの説明にはなりません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC