今日は大晦日ですので、今日から1月7日まで通常の連載(テーマ)を休憩します。
3月11日の東北大地震〜津波〜原発事故と今年は日本にとって大変な1年でした。
被災地の人たちの苦しみは想像を絶するものですが、千葉県のような遠隔地でも、津波の被害にあった地域もありますし、通勤電車に乗っていた電車が止まって家に帰れずに大変な目にあった人も多くいた筈です。
身体的な被害ではありませんが、経済的には千葉県では埋め立て地が多いので、液状化で大きな被害が出ています。
震災で分断されたサプライチェーンの復旧が進んだと思ったら、日系企業の多くが進出しているタイで水害被害が出るなど、日本にとっては次から次へと大変な1年でした。
御陰で自慢の貿易黒字も、ここ数ヶ月は連続赤字に転落してしまい、将来に暗い影を落としています。
この赤字が震災等による一過性で終われば良いのですが、原発事故による火力発電用燃料の大量購入は長期に及ぶ・・半永久的になる可能性が高いので、これの赤字増大分は何か別の工夫で・今までにない分野の創出で稼ぐしかありません。
漫然としていると、燃料輸入増加分だけ毎年赤字が積み上がって行くことになってしまいます。
貿易赤字が続くようになると、長期的にはギリシャ危機あるいは欧州全体のじり貧問題同様に日本も長期低迷状態になって行きますので、バラまきどころの話ではなくなります。
ただし、この問題は、産業構造転換にも大きく依存しているので、それほど心配する必要がありません。
エネルギー大量消費型産業は、大きな雇用業種でもありますが、今年夏以降の大幅円高によって、日本の産業構造が大きく転換する方向になっています。
正月明けには昨日まで書いて来たテーマの連載として、産業構造が転換して行けばどうなるかのテーマで書く予定ですが、組立型産業が順次縮小して行き高度部品産業・知財等中心になって行くと、雇用が減るだけでなくエネルギー消費も国内総生産費ではかなり縮小して行く筈です。
今回の大震災被害〜原発被害は世界未経験のことですから、却って世界最先端の対応技術が発達することを期待しています。
ロシアの場合、宇宙や軍事等国家の総力を掛けた特別分野にだけ突出した技術では先進国並みですがその他、周辺技術の裾野が未発達でした。
せっかく人類未経験の事故に遭遇したチャンスなのに、石棺で覆う程度で終わってしまい、何の新技術も発達しなかったようです。
我が国の場合、周辺技術も日本製ですから、危機対応力が違います。
「想定外」のために予めの準備がなかったので、当初はアメリカのロボットやフランス製の濾過器を導入したりしましたが、故障ばかりで大して役に立たずもたもたしている僅かの間に国産の濾過器が完成して稼働し始めたことで軌道に乗ったことでも分るように、いつでも対応出来るところまで技術水準が高いので、この事故経験を糧にして却ってイザというときの最先端技術が、発達して行く感じです。
原発に限らず、大震災・津波対策・・あるいはタイ工場の浸水によるサプライチェーン維持の課題・・が生じれば直ぐに新たな工夫が生まれますので、今次の災難によって工夫された技術が、今後世界中に対する日本の貴重な輸出産業に育つでしょう。
これからは、このようなソフト技術の輸出時代です。
年末までのシリーズでは、自動車を頂点とする組み立て産業はこれから日本で維持するのは無理があるが、高度技術で生き残って行けるとするテーマでしたが、今年の大災害の連続についても、却って次世代への貴重な経験・資産となる希望を残したとみるべきでしょう。
この希望を持って新しい年を迎えようではありませんか!