外国人労働力と貧困化

外国人労働者を入れることによって、平均賃金コストを下げるのは、国内労働者の平均所得を下げて日本やアジア勢に対抗していただけのことですから、結果的に一人当たり国内総所得を低下させる・・国民・あるいは(国民ではないとしても)居住者を貧しくさせる政策になります。
導入した外国人労働者は、時間の経過で自国に居着いた低所得者層となり・・彼らは低所得なので納税者としては頼りにならないのに対して、社会補償・教育関係給付は逆に増加する傾向があって、これらの施策に追われてしまい・公共投資・・インフラに手が回らなくなりがちです。
個人に置き換えれば、転職の結果低賃金になりその日暮らしの生活になれば、家や庭の手入れがおろそかになるのと同じです。
グーグル映像・ストリートビユウで見ると西洋諸国の諸都市が古すぎる印象になっているのは、外国人労働者の受け入れを始めて結果的に低所得層を増やして行った結果、インフラ・公共物への再投資する資金が足りなくなってしまった結果と見るべきでしょう。
ギリシャ危機が起きたことで、ドイツ等黒字国は儲けていた黒字の蓄積である債権をカットしなければならなくなった・・実質は1つの経済圏の内部タコ配当的だったことが分り、ユーロの価値・為替相場が下がっています。
国債市場で日本に負けていたのは安い人件費に有るのではなく技術革新力の差にあったのですから、アフリカ系やトルコ人等の安い労働力を入れた結果、平均賃金コストが下がって少しは得したでしょうが、日本と互角に競争していた訳でもありません。
日本企業もつい賃金の安い中国や韓国には叶わないと言い訳しがちですが、自戒すべきことです。
ユーロ創設以降これまでの為替相場のじり高は、南欧東欧諸国を内庭として囲い込んだことによって貿易上有利になるだろうという思惑と国際通貨としてはじり貧の(巨額赤字連続で信用を落としている)アメリカドルに変わる受け皿としての(期待値で)ユーロ誕生後円やドルに対してユーロが高値を付けていたに過ぎません。
そのときの私の記憶では、1ドル=1ユーロで始めたのですが、今でもアメリカドルに対しては2〜3割値上がりしたままです。
ここのところの円の対ドル相場は77円台ですが、ユーロは100円台ですから、発足時よりは25%前後対ドル相場でまだ高いのですが、これはこの間にユーロ圏がアメリカよりも2〜3割経済力がアップしたのではなく、各国の準備通貨としてのタンス預金分の恩恵を受けていると見るべきでしょう。
ドイツの貿易黒字が巨大であると報道されますが、日本で言えば東京・大阪等の大都会と青森や沖縄の関係と同じで1つの経済圏にした以上は、首都圏から青森や沖縄に対する売り越しは貿易黒字と言わないように、独仏等の南欧・中欧諸国への売り越しは本来の意味での貿易黒字ではなかったことになります。
EUを1つの経済圏としてみる以上は、ドイツ、フランス、オランダ等の貿易黒字から対南欧諸国に対する黒字を引いたらどれだけ残るかがEUの正味の価値です。
EU盟主国・創設諸国が貿易黒字国だったので、ユーロ圏での財政赤字比率を厳格に定めることができた基礎でしたが、今回ギリシャ危機を切っ掛けにドイツの黒字は1つの経済圏内の蛸足配当的な黒字だったことが、白日の下に曝されました。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC