コンビナートなどでは、地上数メートル以上の高さの支柱の上でパイプラインが縦横に走っていますが、数メートルも高い場合、震度5〜6くらいになると見た目に1メートル前後も揺れる感じですが、支持基盤ごとに1メートル前後もずれる大きな揺れがあった場合、継ぎ目に異常を来さない金属系のパイプは有り得ないと思われます。
(ゴム状のものでも水平に張っていれば1メートル以上の伸び縮みに耐えられないでしょう)
伸縮性の低いパイプ類は格納容器やタンクその他の装置と一緒に揺れる仕組み・・支持基盤を同じにしないと(別々に揺れるのでは)壊れる宿命にあると言えます。
パイプ類は遠くから冷却水やその他の液体やガス類を供給し、排出して行くものですから、パイプ類の総延長全体を格納容器と同じように揺らすには、全部を同じ支持基盤・人工基盤に乗せておくしかないでしょう。
分り易く言えば原発敷地にある必要な機器全部を一枚の基礎に乗せて地震が来れば一緒に揺らすようにする・・・言わばメガフロート類似の大きな船上に原発を設置するしかないことになります。
船上であればどんな大きな地震あるいは波が来てもその上で一緒に揺れるだけですし、これを沖合2〜3kmくらいのところに係留しておけば、津波の心配もありません。
今後技術の進歩によって更にその距離を遠くして行き最終的には沖合数百kmに設置するようにすれば、どんな事故が起きても半径数百km以内の避難民に該当する人が出ないことになります。
ただし、以上来は単なる思いつきであって、昔ボリバー丸とか言う鉱石運搬船がポッキリ折れてしまったことがありましたが、船が一定以上に大きくなると波の動きによる力が船体各部に複雑に作用してこれに耐えられずに折れてしまうことになります。
陸上の人工基盤であっても同じで基盤が広くなればなるほど、地盤の揺れがその支持箇所ごとに違うので、そのひずみに耐えられずに人工基盤自体が壊れてしまいます。
この方面の研究・・材質強度化と波力を分散させる研究が進まないと海上に設置するのはまだまだ無理でしょう。
現在のように陸地に設置し、且つ配管類の固定支持基盤が建家その他の固定物ごとに違い、別々の支持基盤と一緒に揺れるパイプライン形式・・配管設備に関しては、対震装置の充実と言っても一定規模以上の大地震になると無理・限度があります。
格納容器やタンク類自体が耐震設計で震度8でも破壊されないようになっていても多数のパイプが格納容器に穴をあけて装備され外部に繋がっているのですから、これらの配管類に対する耐震基準が甘いままで地震で破壊されると、命綱の冷却装置が駄目になるし、破壊されたパイプラインのあちこちから、放射能に汚染された水が漏れだすのは当たり前です。
報道では、格納容器以外は一般の工場建設や建築基準法による基準で設置されていたとなっています。
今回の大事故は電源喪失だけではなく、既に配管系・配電系の亀裂・損傷等が先にあって容器内の水が漏れだしていたので、電源だけ回復してもどうしようもなかったことは、半年以上経過した未だに復旧(冷却水の循環)出来ないことからも明らかですし、損傷があったので原発建屋の地下に何千トンと汚染水が漏れだして溜まっていたのです。
9月22〜23日の検査で1号機の配管には水素が充満していることが分ったけれども、まだ濃度を測定来ていないとの報道がありました。
これも1号機で分ったと言うだけで、2号機以下も同じではないかと推測している状態・・配管系統は半年以上経過しても未だに手つかずのままと分ります。
逆から言えば、漏れだす分がなければ(蒸発した分だけしか)海水注入も出来ない・・冷やし切れなかった筈ですから、(この場合塩が固まってどんどん溜まって行って大変な事態になっていたでしょう)却って良かったとも言えます。