現在は日本中で土地に地番を付す作業が完成していますので、戸籍簿は地番別に編成されているので、ある人の戸籍謄本・登録事項証明書を取り寄せるには戸籍筆頭者名と本籍地番を特定して行うことになっています。
今でも戸籍謄本を取り寄せてみるとほとんどが何番地と表示されてるのが多いのはそのせいです。
それでも少しくらい地番がずれていても、戸籍役場からの電話で、同じ氏名の戸籍が何番地ならありますが、それで良いですかと聞いてくることがあります。
前回書いたように同じ集落にあれば、地番などなくとも氏名だけでその部落の人には分るものですが、その歴史を引きずっている感じです。
これがコンピューター処理するようになると地番が1番地違ってもヒットしなくなるでしょうから、却って不便な面があります。
ご近所の人でも名前も顔もよく知っているが、正確な住居表示あるいは氏だけではなく名前までとなると正確には分らないものです。
コンピューターでもあの辺の誰それと言うだけで呼び出せるように氏名・・それも少し漢字が違ったり読み方を間違っても大方で・・からも検索出来るようにして欲しいものです。
裁判所の事件検索方法としては、事件番号が分らないと探しようがなかったのがこれまでの整理方法でしたが、これでは事件当事者でさえも古い事件の番号など覚えてられないので、すごく不便なものでしたが、コンピューター化が進んだ結果却って人名や法人名検索でも簡単に出来るようになったので、昔よりはものすごく便利になっています。
同じように、地名だけではなく、人名(あるいは人別データ)からの検索が簡単に出来るようにするのは今のコンピューター技術では簡単なことと思われますので、却って、一つの市町村内であれば大方の地名や人名、生年月日程度を入力すれば(濁って読んだり漢字を別の読み方したりなど少しの誤差があっても)直ぐに出るようになって地番は索引機能としても不要になる可能性があります。
コンピューターの進歩で「何とか郷の誰それ」と言えばすぐ分ったような、江戸時代までの人別帳のように便利な社会に戻るのです。
ところで、離婚や結婚したときの新本籍や引っ越し後現在の住所に本籍を移す場合、新本籍を書くのに現住所と同じと書く人がいますが、実は現住所は街区表示・・住居表示で出来ていますので、本籍地番とは必ずしも一致していないのです。
それでも、現住所と同じと言う届け出でも受け付けてよろしいと言う通達が出ています。(22日に紹介した本はこうした通達集みたいなものです)
意味が分り難い人が多いと思いますが、たとえば、私のことですが、私の自宅の住居表示番号は知っているのですが、地番は土地購入時に契約書で確認してみただけでその後全く見ていないので、今では何番地だったかまるで覚えていない状態です。
離婚や新婚のときに、あるいは転居先を本籍にしたい時に、ほとんどの人が自分の住んでいるマンション等の地番まで知っている人が滅多にいない筈です。
ですから、今では殆どの人が自分の住んでいる地番を知らないので住居表示で届けるようになっているのが現状でしょう。
私も今の住所に本籍を転籍しようと思えば、(地番を完全に忘れているので)うっかり住居表示で届けることになりそうです。
明治には前回書いたように戸籍表示は屋敷地番と土地地番の混在時代でしたが、今では逆に地番表示の本籍と街区番号・住居表示による届出による本籍の二種類が混在していることになりますが、その内に住居表示制度利用の方が増えてくるような気がします。
その内に明治の初めに戸籍には屋敷地番を付していたのと同様に住居表示が中心になる時代が来るように思われます。
そうなると本籍「地」と言わずに単に本籍と言うようになるのでしょうか?
結局は昨日書いたように、本籍「地」の「地」は地番を現すか一定の地域を現すか否かによることになります。