企業はパソコンの普及開始後から再編を急ぎ事務系労働者や中間管理職が急激になくなり、シーマンショックで大胆なリストラ・スリム化を計っているのですから、国全体でも新たな産業構造に対応した人材供給政策・・不要になった汎用品製造向け労働者や単純事務作業や中間管理職向け人材過剰を解消する必要があるのは同じです。
企業の場合、割り増し退職金を払って企業外に出してしまえば解決ですが、国の場合移民支度金を払って戦前のように満州に押し出すことは出来ません。
出来ることは長期的な、人口調整政策しかありません。
今後の世界(科学技術の進歩)を見渡せば、同じ量の生産に必要な現場労働力と中間管理職が激減して行く方向であることは中国・インド等の台頭を抜きにしても同じことです。
産業革命以降生産性の向上に比例して同じ量の生産やサービスに必要な人員が減る一方であったのですが、(そこに着目してラッダイト運動が起きたことは歴史で習うところです)市場を国内だけではなく海外に広げることによって、先進国では労働者削減どころか不足気味に推移したのが植民地争奪戦から中国の解放までの時代でした。
世界の工場としての役割が韓国台湾等のニースから新興国の中国インド等に入れ替わって行くとすれば、国内生産は減ることがあっても増えることを期待するのは無理があります。
仮に現状維持でも生産性向上に比例して(生活水準の向上に比例して消費総量も増えますが・・)労働力過剰になるのは当然です。
1月16〜18日にかけて車や製鉄、国内総生産が大幅に伸びていることを紹介しましたが、それにもかかわらず就労人口が700万人も減っているのです。
これに加えて労賃の易い新興国が同じ生産設備を使って参入する時代が来たので、先進国の労賃はこれに引きずられて下がるか、(国際平準化傾向についてはこれまで何回も書きました)競争に負けて輸出国から輸入国になり国内需要分さえ生産出来ない時代が来る可能性があります。
中国やインドへの進出加速とは、言い換えれば国内工場が競争に負けて増設出来なくなり、閉鎖して行く過程の別表現とも言えます。
さしあたり国内工場が現状維持出来ているのは、新興国参入分だけ、その国での消費が増え続けているので新興国生産分がそっくり従来先進国生産分に置き換わらないからです。
その内新興国からの輸出が増加してくるでしょうから、先進国では汎用品大量生産型の工場縮小が続き、この分野でしか働けない労働者の失業がもっと深刻化する筈です。
この分野の労働者はずっと前から技術革新によって過剰になっているのですから、この分野向け外国人労働者の移入論は時代錯誤論だと言うのが私の年来の主張に繋がります。
先進国は当面付加価値の高い製品・・知財等で勝負するしかないので、汎用品向けの非熟練工や中間管理職までの末端ホワイトカラー向け人材供給を縮小して行くしかありません。