非正規雇用が良いか悪いかの議論をいくらしていても、前回紹介したように雇用減に対して就労者増で対応していたのでは、賃金下降、あるいは労働条件が低下するのは論理の必然です。
国民一人当たりの豊かさを実現・維持するには、労働者供給をしぼることが必須です。
貧乏人の子沢山の論理の場合、これを逆ばりにしないと貧困から脱出出来ないのと同じで、雇用減・供給過剰によって低賃金化が進むと今まで働かなかった主婦層まで収入を得ようと労働市場に参入するので、供給過剰が更に進み労働条件がいよいよ低下してしまいます。
我が国は過去20年だけではなくこれからもグローバル経済化の結果、雇用減に進むしかない・・国内生産維持に努力してもこの速度を落とすのがやっとですから、これに間に合うように供給減・・人口減に踏み切るしかありません。
最大の人口減だったと言われる昨年でも僅かに8万人減(全員労働可能ではありませんので労働者減としてはもっと少ない)に過ぎませんから、労働需要減少の勢いに人口減が追いついて行かないままになっているので、非正規雇用等労働条件低下が進んでいるのです。
・・その結果新規参入者=若者に大幅にしわ寄せが行き、この20年ばかり若者の閉塞感が強くなっている根本原因です。
日本人は余ってしまっても簡単に外国に逃げられない・・青森県の若者が県外に逃げて行くような訳には行きませんので、為政者が労働人口の需給ギャップに対して自然現象のように放置している・・それどころか逆に子供を増やそうとするのでは、無責任のそしりを免れません。
為政者としては、短期的には国内の雇用減を少しでも遅らせることに努力するのは当然としても、長期的には単純労働分野・・事務部門もあわせて海外脱出(コールセンターその他単純事務部門も早くから海外アウトソーシングしています)と国内雇用減がジリジリと進行するのは防げないのですから、この長期トレンドにあわせて出産減→人口減で長期的に対応して行くべきです。
(県外脱出程度なら若ければ誰でも可能ですが、海外となると若いだけでは無理でしょうし、もしも有能なヒトや資産のある人から脱出を始めると日本の国は持たなくなります)
最近若者が海外志向しないことをいかにも最近の若者に覇気がないかのように批判的に紹介されていますが、本当に有能な人から出て行く・・国を捨てて行く時代が来たら大変です。
外国人の場合、労働市場の変動によって出入国数も簡単に増減しますが、日本人自体は(上記の通り県別では同じ問題が起きていますが・・・)簡単に外国に逃げて行けないので、人口過剰状態のままとならざるを得ません。
結果的に失業率上昇またはワークシェアー・所得シェアーで、国民一人当たりの生活水準を下げるしかありません。
少子化による人口調整には30〜50年単位(長寿化が進むともっとかかります)の時間がかかりますので、長期的計画が必要です。
中国が一人っ子政策を始めたのは1979年で、既に32年経過していますが、未だに人口は増え続けています。