合計特殊出生率2と人口増減

前回特殊出生率の変化を紹介したように、戦後復興が始まったころから急激に出生率が下がり始めた(1975年から2、0を切っている・・)のに1950年から2005年までの55間、8000万余りから1億2776万人あまりまで増え続けたのは、長寿化・滞在時間の延長による滞留者の増加に少子化・出産減少率が追いつかなかったことを表しています。
長寿化が止まったのであれば、合計特殊出生率が2、07で均衡しますが長寿化のスピードが緩んで来たのか、あるいは長寿化のスピードを出生率の低下が上回って来た、あるいは長寿化のスピードを出生率の低下が上回って来ただけです。
昨年10万7000人も減ったと大騒ぎしていますが、その内日本人の人口減は8万1000人に過ぎず統計表では0、6%減でしかありません。
現状の出生率1、198を1,1999〜1,201くらいにちょっと上がるくらいで均衡するのでしょう。
平均寿命不変の場合にのみ均衡すべき理論値である2、07では、実際に均衡しない・・増加して行くのですから、何のための理論値なのか意味不明です。
言わば計算の中途で必要な数値でしかない筈ですが、これがマスコミで一人歩きしているのです。
長寿化がまだ少しずつ延長傾向にある時に1、21〜1、25〜1、2などの、どの辺の数値で均衡するかの研究・発表が必要ではないでしょうか?
前回の例で客の滞在時間が30分から、50分に増えたことによって、仮に5分に1回の来店客に減れば、出入数値は均衡しますが、それだけでは新たな出入が均衡する(・・このように滞在時間の変化によって均衡値が変化する筈です)だけであって、その間に入口で滞留してしまった(・・例えば20人が入口で滞留して待っていると)解消にはなりません。
滞留解消のためには、理論的な均衡数よりも(たとえば来店頻度を6〜7分に1回に)減らさなければ、滞留が解消しないことになります。
この間に増え過ぎてしまった滞留人口を減らすには、長寿化の伸びにあわせた生死数が均衡するためだけの計算ではなく、それ以上に出生率を減らして行く必要があります。
現在はまだ長寿化による人口増加よりも減少の方が多くなり始めたばかりで、滞留によって増え過ぎた人口を元に戻すところまで行っていません。
減り始めたと言っても、2005年以降年間数万人規模で推移していて、昨年(2010年)7月の確定値で漸く対前年比10万7000人減(日本人だけでは8万1000人減比率では0、6%との説明です)になったと大騒ぎしているところです。
・・徐々に減少幅が大きくなるとして大雑把に考えても10年で120〜180万人しか減りませんので、総人口1億2776万人を1億に戻すだけでも気の遠くなるような期間がかかる勘定です。
㈳エイジング研究所の平成18年の将来人口推計(私と違って精密な計算でしょう)によると、現在の特殊出生率の趨勢(もっと出生率が下がり続ける前提です)が続くと2050年頃に漸く1955年の人口に近い8839万人に戻る予定となっています。
厚労省の予測統計でも似たような推計ですから、1955年から2005年まで50年かけて滞留・増加した人口を元に戻すのにちょうど50年かかると言う訳で、神の摂理と言うかうまく出来ていることに驚くばかりです。
と言うよりは50年で人口が元に戻るようなシュミレーションをすればその間に必要な特殊出生率の変化が弾ける・・推定出来るとも言えます。
これらの意見によれば、今よりも出生率が下がって行かないと、50年経っても1955年当時の人口に戻らない計算が出来ているのです。
ただし、これら研究発表は「このままでは50年前の人口に戻ってしまうぞ!」と言う脅しのつもりで書いているのでしょう。

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