2010-9-28「高齢者引退と年金」以来デフレ論にそれてしまいましたので、年金赤字の問題に戻しますと必要労働力量が一定とすれば、仮に定年時労働者が100万人の場合定年を1年延長すると100万人分の労働力過剰がおきます。
この過剰分が新卒・新規参入者の就職難に直結します。
一定どころか、ここ数十年は海外進出企業の増加(例えば今年の例で言えば、日産が大衆車マーチ生産を全量タイに移管しました)で国内必要労働力量は減少して行く一方です。
ある報道によれば、リーマンショック以降この秋までの約2年間で製造業の海外進出による雇用減少分が11%あまりとのことですから、定年延長がなくとも若者の就職機会がここ2年で11%も減少しているのです。
この状態のところに、定年延長あるいは高齢者雇用が進むと若者の職場は両側から攻められることになります。
国内必要労働力の減少に合わせて新規参入労働力=人口を減らせて行けば整合しますが、(人口減少政策が必要と言うのが私の基本的立場でこれまで繰り返し書いています)これには30年単位の長期ビジョンが必要ですので、1〜2年単位の不況による職場減少対策や5年前後の短期政策には間に合いません。
そこで、短期的な当面のつじつま合わせとすれば、中高年齢層の早期退場によって、景気変動に合わせて調節するのが合理的です。
従来どおり60歳で引退しているだけでは、上記のように海外進出の加速による国内職場減少分を若者が引き受けるしかないのですから、むしろ職場減少分に合わせて58→57歳と逆に定年を前倒しして行って、高齢者が若者に職場を譲ってくれないと若者の就職するチャンス・場が足りない時代です。
レストランでも美術館でもどこでもそうですが、後がつかえているときには早めに出て行って(回転を早く)もらわなければならないのに、逆にゆっくりしていくように誘導していたのでは、入口で入場者が滞留してしまいます。
若年層の失業率の引き上げ・・職場への入場制限していると、その間、時間つぶしに本を立ち読みしたりパチンコをしているようなもので若者のモラトリアムと言われる現状・フリーターや非正規雇用の増加に繋がっているのです。
思い切って定年を55歳に戻せば、5年分の雇用・・仮に年100万人の労働者としても500万人の労働力不足が起きて失業問題あるいは若者の非正規雇用問題が解決します。