デフレ2(輸入)

兌換紙幣から不換紙幣になってからは、そもそも紙幣不足によるデフレなど起こりようがなくなっているのですから、(実際戦後の日本は物価上昇の連続であってバブル崩壊までは下落したことがありません)無制限紙幣発行可能な不換紙幣時代に、その前の金本位制時代の貨幣不足理論を当てはめても意味がない筈です。
先進国は産業革命以降1990年頃までは世界の工場として(今の新興国同様に)いくら作っても世界中に売れたので設備投資用の資金需要が旺盛・・何時も不足気味でした。
この世界輸出競争の過程で、先進国間での市場争奪戦争・・古くは英仏蘭によるヘゲモニー争い等帝国主義戦争を繰り返したあげくに最後はブロック化によって世界大戦が起きたのですが、第二次世界大戦後は、先進国間の経済戦争が軍事衝突に結びつかない工夫・・自由貿易が戦争抑止に必要と理解して、これを守るガット〜WTO体制の構築によって制御されて来ました。
産業革命以降、列強と言われる先進国だけが鉱工業製品を生産・輸出し、その他の国々はその市場として位置づけられ、その制度的保障・・囲い込みの対象として植民地化されていったのです。
これら植民地は第二次世界大戦後独立したので宗主国による囲い込み・・ブロック化がなくなったものの、これらの国々では先進国の市場として位置づけられたままでした。
元植民地諸国は、工業製品を買うばかりで資源以外の売るものがなかったので貿易赤字をファイナンスするために経済援助としての借款等を得て辻褄を合わしていたので、債務が増える一方でした。
このため(石油等の資源のある国以外は)いわゆる南北問題としてしょっ中最貧国への経済援助の債務帳消しが債権国会議の議題に上っていたのです。
1980年前後中国の改革開放と1990年頃のソ連の解体によって先進資本主義国の資本が今の新興国になだれ込んで工場立地するようになったことから、これまで先進国から後進国へ流れていた工業製品の流れ・・物流の流れが逆転して新興国から先進国へ製品輸出・・グローバル化の時代になりました。
現在の新興国から先進国への物流の逆転は、イキナリ技術優位が先進国と新興国で逆転して輸出国と輸入国が入れ替わったのではなく、周知のとおりこれまで先進国が技術独占を利用して実力以上に高所得・高水準の生活を謳歌していた分メッキがはがれて来たに過ぎないと言えます。
先進国内にある機械設備さえ後進国へ設置して少し訓練してやれば、後進国も同じものを作れる・・当たり前のことが分ったに過ぎません。

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