高齢者引退と年金

現役世代が元気なく勤労所得が少ないのは、もしも根性がないのではなく親世代がいつまでも居座っているために職場がないからだとすれば、親世代が早く職場を譲るべき問題に帰ってくるので、世代間で損得を議論するべきテーマではあり得ません。
若年層の年金納付額が減少しているのは、中高年齢層の引退を引き延ばすことによって、若年層の就職難を引き起こし、年金・保険料等納付者や額を減少させていることによる面もあるのですから、(海外進出の加速が職場縮小の大きな原因ですが、そうとすればなおさら、縮小した職場を若者に譲るべきではないかと言うことです)結局は国内で一定の労働需要があるとしたら、若年が担うべきか高齢者が担うべきかの問題を先に解決すべきです。
高度成長期のように増産すればその分だけ売れる時代・・労働者が多ければいくらでも働く場があった時代とは違い、いまは、むしろ中国等の追い上げで・・製品輸入増で現場労働の職場は減る一方の時代では、既存労働力さえ過剰になっているのは明らかです。
・・この過剰になった労働力を高齢者が引退して次世代に譲るべきか次世代を遊ばせて高齢者が働くかの選択の問題です。
赤ちゃんの間引きならぬ高齢者の間引き・・・姥捨ての習慣について9月24日頃に書きましたが、職場が一つしかなくて若者が働くか高齢者が働くべきかの二者択一となれば正解は明らかです。
この明らかな結論を見ないことにして、高齢者の定年延長・高齢者雇用促進と言う馬鹿げたことを歴代政府や現政権が政策目標にしているから、その分だけ若者の職場が失われ、(保険・年金等納付者が減ります)長期的にも若者の職業訓練機会が失われる国力低下リスクに直面しているのです。
高度成長期には旧市街再開発も新市街造成も(国単位で言えば過疎地対策も成長企業への補助も)両方にテコ入れが可能な時代でしたから、政治家は双方に言い顔が出来て楽でした。
成長が止まれば両方へ税金を配ることは出来ず、スクラップ&ビルド択一関係しかありません。
人材も同じで、縮小傾向・・失業者が出るしかないとすれば、高齢者を遊ばせるか若者を遊ばせるかの択一選択しかない筈です。
この厳しい選択を避けて、双方に良い顔をしていると社会的に強い高齢者の方が職を手放さない弊害が生まれて来ます。
ここは政治力を発揮して、高齢者を早期引退させる政治に切り替えるべきです。
同じ500万人が失業するならば、年齢の高い順に失業させた方が社会のためには合理的です。
若者を失業させて、たとえば数百万人フリーターにするよりは高齢者を早く引退させて同じ数だけフリーターに入れ替えた方が将来のために良いのです。

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