今年の春に離婚が成立した薬剤師夫婦の場合も、夫婦で20万前後の高層マンションのローンを組んでいることもあって(この支払に困るからでしょうか)夫の方が子を産むのに協力しないことが妻の不満の原因でした 。
懐が別と言う結婚が増えてくると結婚率がどうのと言ってもその意味内容が変質して来ます 。
今から25年ほど前に奥さんが日常生活費を負担し、夫が家賃と公共料金の引き落としを負担していた夫婦があって、子供が生まれて奥さんが退職したのに夫が上記以上の負担をしないので奥さんが食うに困って実家からの仕送りで生活をしていたあげく離婚事件になったのを受任したことを紹介したことがあります 。
この頃の私はとんでもない男だと言う考えで受任し、02/23/05「離婚の実態1(夫婦の家は誰のもの?1)」のコラムで紹介しましたが、最近上記のような相談事例が増えてくると15年ほど前のその男は今では、時代の先端を実践していたことになります 。
私たちの世代はいわゆる専業主婦の時代でしたから、(税制・保険・年金制度はすべてこれを基礎に設計されていたことは周知のとおりです)いわば古代から始まった夫婦婚姻制度・ジェンダーの完成期であったと言えるかも知れません。
夫たちは生活の100%を委ねられて(妻に100%頼られて)いる以上は、これに応えて妻の信頼を裏切らないことが美徳であり、夫婦ともに不貞行為をしないところか積極的に一秒も早く家に帰り家庭第一に生きて行く・・楽しみごとは親子で楽しみ、子供が育ち上がれば夫婦中心で楽しむことが理想の姿でした 。
ご記憶の方がいるかも知れませんが、昭和30年代半ば頃にアメリカのホームドラマ「パパは何でも知っている」と言うのが茶の間に紹介されてマイホーム主義の理想的な姿として日本社会に浸透(特に専業主婦層及びその予備軍を魅了)した時代でした 。
ところが、企業社会の方では高度成長から国際競争社会への突入で社員(主として男性)に対しては、滅私奉公・猛烈社員(「24時間戦えますか!」の広告が有名です)を求めている点で、マイホーム主義と猛烈主義との価値観の分裂が生じていました。
外に出ている夫は、妻の不満があっても会社人間にならざるを得ず、夫の交際は会社関係者が中心で終業後も遅くまで帰って来ないのが普通ですから、上記の家庭のあるべき姿の価値観で生きている奥さんは不満ですし、この価値観の分裂が主婦層の不満の蓄積となり熟年離婚に繋がっているのです 。
この二つの価値観の相克では、家庭にいる方が割を食う印象(何時帰るか、夕食を食べるか否かさえも分らない夫に不満を抱いた主婦が大半でしょう)になって主婦層あるいは結婚予備軍の若い女性が「では私も外で働くわ!」となって、男女ともに猛烈型競争に参加する時代・・結局猛烈型の勝利に終わったと言うことでしょうか?