老人を養うために跡継ぎになるべき唯一の子供すら育てられない極限的択一となれば、種族維持のためには、老人を間引く方が合理的です。
現在社会ではまさか老人の間引きまではしませんが、高齢者の就労支援をしているとその分若年者の職域が狭まる問題点を01/07/10
「終身雇用制2→若者就職難2」以下の連載その他でくり返し書いてきました。
簡単な例で言えば、定年を1年延ばすと60歳の労働人口分が退職しない・・この退職を前提に新卒の採用をしていた分の採用を手控える結果になります。
55歳定年をじりじりと60歳まで伸ばして来た結果、(最近では実質63歳までの残れる企業が殆どです)その分だけこの20年間ほどで若年者の正規雇用が減ってしまったのです。
(派遣制度が出来たのは、正規雇用の総量減少の経済実態が先にあって、この受け皿のために各種非正規雇用が工夫されたのであって、派遣があるから非正規雇用が増えたのではありません。)
高齢者の雇用延長と若年者の就職難については、01/08/03「ゆとり生活 2」のコラムでも紹介しました。
しきりに労働力不足到来を宣伝して、高齢者の再雇用あるいは労働年齢の引き上げ・延長をキャンペインしていますが、雇用の場が一定のままあるいは縮小傾向にあるときに、高齢者の引退を先送りするとその分若者の就職機会を余計奪うことになります。
現在若者の失業率高止まりが大問題になっているときに、高齢者雇用の延長を政府が呼びかけているのは、雇用問題・あるいは次世代の健全育成の視点から言えば意味不明・・矛盾した政策です。
姥捨て山の時代には、高齢者がいくら元気でまだ働けても農地面積が一定である限り、(2世代で働こうと1世代で働こうと)収量がほぼ一定ですから、一家の収入が変わらないので困った結果、(まだ元気で働けるとしても)高齢者にお引き取り願っていたのです。
現在の日本も同じで、高齢者がまだ元気なら働いてもらえば年金財政が良くなるかと思うと、それは間違いです。
高齢者が働く分若年層の失業を招いているのでは、社会保険や年金負担者総量が変わりません。
現在の年金財政の赤字は、生産に必要な国民必要総労働力量が減ってきているからこれに比例して保険料・年金等納付が減っている面が大きいのです。
高齢者がもっと働いたところで、その分若年層の職場を奪い彼らが失業あるいは厚生年金のない不定期雇用で働くしかないのでは、トータルとして健康保険料や年金等納付者・額は同じになります。
年金等納付額は、(金融・資本所得等から、保険料を徴収しない限り)結局は労働者の労賃の総額に比例するしかないからです。