グローバル化と在宅介護

有料老人ホームでも病気をすれば病院へ入院させられるのですから、自宅にいる場合との違いは見回りをマメにしてくれる安心感と入院すべき病気かちょっとした体調不良かその判断や応援の程度の違いでしかありません。
介護の専門家が見てくれるので素人の家族よりは手際がいいのと病気の兆候に関しても経験を積んでいるので察知能力が高く便利な面がありますが、訪問治療の発達や在宅介護あるいは、独居老人の見守りその他の総合在宅支援が徐々に充実整備されて行くと、有料老人ホームの個室にいるのと同じ程度のサービスが自宅にいたままで保障されるようになります。
見回りも1日一回ではなく高齢者の不自由度に応じて多数回の見回りをするなど、自宅介護関連サービスの充実が進むと有料老人ホームに入るメリットが減少しますから、現在の高額入居一時金の必要な有料老人ホームはこれらが充実される間の暫定的システムと言えます。
個人の住宅で自分でトイレにも一人で行けないような人が独居している(あるいはほぼ毎日顔を出せる子供等が近くにいない)場合、訪問介護は万全でも金銭管理や自宅の修繕等セキュリテイに心配が生じます。
その点では、資産家にとっては家の修繕など気にしなくて良いし、セキュリテイがしっかりし、しかも車椅子での移動がしやすい・介助付きで入り易い風呂トイレなどの設備が充実した高齢者向けマンション・有料老人ホームが流行るかもしれません。
こういう点・資産管理が気になるとすれば、今後はこうした分野の管理がしっかりしている有料老人ホームだけではなく、(賃貸を含めた)高齢者専用マンション・老人向け各種サービス付きの中間系のマンション・アパートが発達し主流になって行くべきでしょう。
現在の後見制度は、後見人になる人の人格を審査して個人・自然人が後見管理する仕組みですが、今後は個人の人格を基準にせずに一定基準に合致した(保証金を供託する等して)法人(老人ホーム等)が客観的組織・多数人でのチームとして高齢者の資産管理をして行く方が合理的な気がします。
そうして、これに対する監査制度ともしもの場合の賠償保障制度(業界で保険加入等)を充実して行けばいいのです。
ところで、我々の次の世代以降(30代半ば以降)では、グローバル経済化の進展で将来的には中国や韓国と賃金格差が縮小して行くしかないのですが、正規社員の賃下げをしにくい社会構造ですから、この過渡期には正規社員を極限まで縮小し・新規採用を絞っていくしかないので、結果的に失業者・・ひいては被正規従業員が増えざるを得ません。

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