08/05/05

検察官8(公益の代表者3)民法142

しかし、実際には、要保護者がいるのに、法定した親族がいないために放置したままでは近所が困ります。
或いは資産家の老人が悪徳業者の食い物になっているのに、周りではどうしょうもないことが、これからの時代では頻発するでしょう。
かと言って検察官が町を巡回して、そうした人がいれば自分で探し出して積極的に申し立てしてくれる仕組みにはなっていません。
一人住まいのボケてきた老人がいた場合、このまま放置しているとリフォーム詐欺などの餌食になるからと近所の人が、心配して、何とかならないかと弁護士に相談する時代が来るのでしょう。
弁護士が、資料を準備して検察官に職権発動を促す(実際は求めるのですが、法形式は申し立て権がありませんので、陳情または上申という形になります。)という手続きになります。
わが国では、これまでは兄弟姉妹が多かったので、身寄りのいない人は稀でしたが、これからは子供が一人しかいないとか独身のまま老人になった人が増えてくると、フランス法の予定したような老人など能力の衰えた人の資産管理者の必要な時代が迫ってくると思われます。
この申し立て権者になるのが、検察官が公益の代表者であると言う具体的な意味です。
この他に保佐人や不在者の管理人など各所の条文で、検察官は、公益の代表者として申し立て権が規定され、或いは公益の代表者として被告になる規定が存在しているのですが、(死後認知の訴えなど)その淵源は、フランス革命に遡ると言われ、わが民法でもこれが取り込まれているのです。
しかし、この公益の代表者と言う機能・職務も現在社会ではおかしなものです。
上記の例でも分るように、検察官が独自に申し立てることは皆無に近く、むしろ近所の人や法律上婚姻していないが同棲者・内妻などが申し立てようとすると申し立て権がないために、仕方なく検察官に職権発動を求めているのです。
検察官は、通報してくれただけでありがたいと感謝するのが本来ですが、そこは役人ですから、折角申し立てても裁判所で認められないと大恥を掻くと言う方向への発想が先ず働きますから、根掘り葉掘り資料の準備を要求してきます。
警察が刑事告訴をなかなか受け付けないのも、その一種で、こうした弊害については、01/29/03
刑事告訴(無修正主義の問題点4)のコラムで書きました。
こうした訳で、検察官に職権を発動してもらうためには、それだけの資料を添えて出さなければならないのですが、完全に資料が揃った場合しか検察官が申し立てしてくれないのでは、何のために検察官の申し立て権があるのか分りません。
民間が完全な資料全部自分で揃えなければならないならば、始めから、民間が揃った資料を添えて、直接裁判所へ申し立てるようにした方がすっきりします。
法定の親族以外の親族や他人が申し立てると、何か困ることがあるのでしょうか?



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